2020年も残りあとわずかになってきました。世界中がコロナウイルスの影響を受ける中、宇宙・天文や地球に関して、2020年もさまざまなことがありました。今回の記事では、アストロピクスに掲載してきた画像を紹介しつつ2020年を時系列で振り返っていきます。
昨年末から今年初めにかけて、オリオン座の1等星ベテルギウスが暗くなったことが話題になりました。この画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)で減光前と減光後のベテルギウスをとらえた画像のうち減光後のものです。減光の原因については、巨大な黒点のためという説や、塵の雲が原因という説などが出されました。
昨年から発生していたオーストラリア南東部での森林火災が、1月になってもいまだ収まっていませんでした。火災が終息したのは2月半ばになってからでした。→「宇宙からみたオーストラリア南東部の森林火災 〜 アストロピクス掲載画像まとめ」
2月10日に太陽観測衛星ソーラー・オービターが打ち上げられました。地球と金星の重力を利用して軌道を変えながら、打ち上げから2年後に、168日間で太陽を1周する運用軌道へ到達します。6月15日には初の近日点通過を行いました。その際に撮影した画像が7月に公開されました。
4月10日、日欧共同の水星探査機ベピコロンボ(BepiColombo)が地球でのフライバイを完了しました。またベピコロンボは10月15日に金星フライバイに成功しました。
4月24日にはハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げ30周年を迎えました。ハッブルの打ち上げは1990年4月。2009年に行われた保守ミッションを最後に保守は行われていませんが、いまだ現役で活躍を続けています。
5月21日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV-9)が打ち上げられ、26日にISSとドッキングしました。HTV-9は「こうのとり」の最終便となりました。HTV-9は8月にISSから分離し大気圏に再突入して燃え尽きました。→「15枚の写真で振り返る『こうのとり』最終便」
5月31日、スペースX社の新型宇宙船クルー・ドラゴンがISS(国際宇宙ステーション)に向けて、ケネディ宇宙センターからファルコン9ロケットで打ち上げられました。クルー・ドラゴンにはNASAのダグラス・ハーリー飛行士、ロバート・ベンケン飛行士の2人が搭乗していました。→「ISSから撮影されたクルー・ドラゴンの高解像度写真を紹介」
7月にはネオワイズ彗星が話題になりました。アストロピクスでも、ハワイ島のマウナケア山頂付近で撮影された画像や、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像などを紹介しました。
8月にはNASAの火星探査車パーサヴィアランス(Perseverance)が打ち上げられました。パーサヴィアランスは来年2月に火星のジェゼロ・クレーターに着陸予定です。ジェゼロ・クレーターはかつて水をたたえていたと考えられている場所です。パーサヴィアランスにはまた、「Ingenuity(インジェニュイティ)」と名付けられた小型ヘリコプターも搭載されています。
10月20日、NASAの小惑星探査機オシリス・レックスは、小惑星ベンヌへのタッチダウンに成功しました。十分な量のサンプル収集に成功したとみられています。サンプルは2023年9月に帰還予定です。
11月16日には、野口聡一さんを含む4人の宇宙飛行士を乗せたクルー・ドラゴン「レジリエンス」が打ち上げられました。レジリエンスは17日にISSへドッキングしました。
12月に「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還したことは、まだ記憶に新しいところです。この画像は、はやぶさ2が帰還時に撮影した地球です。カプセル内に小惑星リュウグウのサンプルも確認され、サンプルリターンは大成功でした。はやぶさ2本体は新たな目標天体へ向けて再び旅立ちました。
2021年は、2月にパーサヴィアランスが火星に到着、ベピコロンボが8月に金星で、10月には水星でのフライバイの予定になっています。また10月末にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も打ち上げ予定です(さらなる延期がなければですが)。それらの情報も含め、アストロピクスでは2021年も宇宙・天文・地球に関してさまざまな画像やニュースをお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。