太陽風の発生源か? ソーラー・オービターがとらえた小さなジェット

この画像はESA/NASAの太陽探査機ソーラー・オービターが撮影したものです。「コロナ」と呼ばれる太陽の上層大気から物質が噴出する小さなジェットが多数映し出されています。

太陽からは電子や陽子などの電気を帯びた粒子(荷電粒子)が「風」のように吹き出しています。その「風」は「太陽風」と呼ばれており、地球はもちろん、最果ての惑星である海王星をもこえて広がっています。太陽風が地球の磁場と相互作用するとオーロラなどが発生します。太陽風がどのように発生するのか、はっきりしていませんでした。

ソーラー・オービターがとらえた小さなジェットは、それぞれ20〜100秒間持続し、秒速約100kmでプラズマを放出しています。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、このジェットは太陽風の発生源である可能性があるとのことです。

これらのジェットは、2022年3月30日にソーラー・オービターのEUI(極端紫外線撮像装置)で撮影された、17.4ナノメートルの波長の極端紫外線のデータから明らかになりました。なお画像は「ネガ」の状態であるためジェットが暗く見えていますが、実際には太陽表面に対して明るく輝いています。

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太陽の南極付近のコロナホールの映像

こちらの映像は、2022年3月30日4時30分〜4時55分(UTC、協定世界時)の間にソーラー・オービターがとらえたものです。太陽の南極付近の「コロナホール」を示しています。コロナホールは、コロナの密度が低く暗く見える領域のことです。冒頭の画像で示した小さなジェットが、画像全体に小さく明るい閃光として映っています。

Image Credit: ESA & NASA/Solar Orbiter/EUI Team; acknowledgement: Lakshmi Pradeep Chitta, Max Planck Institute for Solar System Research, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA