
この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティがとらえた360度パノラマです。「ボックスワーク」と呼ばれる、縁石のような岩石が交差したような構造が映っています。
ボックスワークは、遠い昔に岩盤の割れ目に水が流れ込んだ際、水に含まれていた鉱物が割れ目の中でセメントのように固まり、その後、侵食や風化によって周りの岩が削り取られた結果、鉱物が固まった部分が残ったものです。
画像はキュリオシティがマストカメラで2025年5月15〜18日(ミッション開始から4451〜4454火星日)に撮影した291枚の画像を合成したものです。
画像右側には「Texoli」と愛称がつけられた高さ約160mのビュートがあります。画像の中央には、キュリオシティの車輪の跡がみられます。画像中央の奥には、キュリオシティの着陸地であるゲール・クレーターの縁が見えます。キュリオシティは2014年に着陸して以来、ゲール・クレーター内にある高さ5kmのアイオリス山(シャープ山)の麓を探査しています。
火星では乾燥化が進行した時代にも地下には水があった!?
アイオリス山は複数の地層で構成されています。キュリオシティは、古い層から新しい層へと山を登りながら探査を続けています。キュリオシティは現在、水が枯れると形成される硫酸マグネシウムを多く含む層を探査しています。硫酸マグネシウムの存在は、キュリオシティが現在調べている層が、気候の乾燥化に伴って出現したことを示唆しています。ボックスワークは、そのように乾燥していく過程でも、まだ地下に水が存在していたことを示しているとのことです。
(参考)
「キュリオシティ」アストロピクス記事一覧
火星探査車キュリオシティの大パノラマ かつての水の痕跡「ボックスワーク」を初撮影か!?
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS