水星探査機ベピコロンボ、地球スイングバイ完了

日欧共同の水星探査機ベピコロンボ(BepiColombo)は2020年4月10日、地球でのスイングバイを完了しました。地球の重力を利用して太陽方向へと進路を変更したのです。

ベピコロンボは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)という2機のオービターで水星の観測を行おうというミッションです。

冒頭の画像は、ベピコロンボのモニタリングカメラで撮影された地球です。地球への最接近の直前、2020年4月10日12時33分(日本時間、以下同じ)に約1万9000kmの距離から撮影されました。地球への最接近は13時25分ごろ、高度は約1万2700kmでした。

こちらは12時3分から41分の間に撮影された画像を動画にしたもの。撮影の間、地球からの距離は約2万6700kmから1万7300kmになりました。

今回の地球スイングバイでは、最接近の直後の14時1分から35分までの34分間、地球の影の中を通過する時間帯がありました。太陽光を受けずに飛行するのは、打ち上げ以来、今回が初めてのことでした。それに備えて、事前にバッテリーをフル充電し、全てのコンポーネントが温められました。影の中にいる間は、搭載システムの温度が注意深く監視されていました。

今回のスイングバイでは、新型コロナウイルス流行する中、限られた人員で行う必要がありましたが、その制約がミッションに影響することはなかったとのことです。スイングバイの際にはMPOと「みお」の両方の探査機で、機器の動作確認のための観測も行われました。

この画像は4月10日6時4分、約12万8000kmの距離から撮影された地球です。

2018年10月に打ち上げられたベピコロンボは、2025年後半の水星到着に向けて旅を続けています。その間、ベピコロンボは、地球と金星、水星で合計9回のスイングバイを行います。今回の地球スイングバイは、その1回目のものでした。今後、金星で2回、水星で6回のスイングバイを行います。次の金星でのスイングバイは、2020年10月に予定されています。

Image Credit: ESA/BepiColombo/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO

http://www.esa.int/ESA_Multimedia/Images/2020/04/BepiColombo_s_close-up_of_Earth_during_flyby

http://www.esa.int/ESA_Multimedia/Images/2020/04/BepiColombo_closing_in_on_Earth_ahead_of_flyby6