2021年もあとわずか。アストロピクスでは2021年も天文・宇宙、太陽系、地球などに関する画像やニュースを紹介してきました。その中から太陽系の探査機に関するトピックスを振り返ります。
まずは日本も関係しているベピコロンボ。2025年の水星到着を目指す日欧共同の水星探査ミッション「ベピコロンボ」は、8月10日に金星でのフライバイ、10月2日には水星でのフライバイを行いました。金星では2回目、水星では6回のうちの1回目のフライバイでした。ベピコロンボは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「みお(MMO)」とESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO)、電気推進モジュール(MTM)などが結合した形で水星へ向かっています。フライバイ時には探査機のメインのカメラは使えないため、MTMに設置されているモニタリングカメラを使い画像が撮影されました。
2月18日には、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが、ジェゼロ・クレーターへの着陸に成功しました。公表された着陸時の映像は、これまでにない圧巻のものでした。パーサヴィアランスには「インジェニュイティ」という名の小型の火星ヘリコプターが搭載されており、4月19日には初飛行に成功しました。インジェニュイティはもともと火星での飛行が可能であることを実証することが目的でしたが、順調に飛行が成功したことから、5回目以降の飛行では将来の探査に役立つような運用方法の実証を目的とした飛行が行われています。
火星関連ではアラブ首長国連邦(UAE)のHOPE、中国の天問1号も話題となりました。HOPEは2月9日、天問1号は2月10日に火星の周回軌道に入りました。探査車「祝融」を搭載した天問1号の着陸機は5月15日に着陸に成功、その後、火星の大地を移動した祝融が撮影した画像も送られてきました。
5月10日には、NASAの小惑星探査機オシリス・レックスが小惑星ベンヌを出発し、地球への帰還の途につきました。オシリス・レックスは60グラム以上のサンプルを採取したとみられています。2023年9月24日にベンヌのサンプルが入ったカプセルを地球へ届ける予定です。
10月16日には木星のトロヤ群小惑星の探査を目指すNASAのルーシーが打ち上げられました。木星の公転軌道上で、木星の進行方向とその逆側に小惑星群が存在することが知られており「トロヤ群小惑星」と呼ばれています。ルーシーは、その木星のトロヤ群小惑星を探査するはじめての探査機です。合計7個のトロヤ群小惑星に接近しながら観測を行います。
小惑星関連ではまた、11月24日にNASAの探査機DART(Double Asteroid Redirection Test)が打ち上げられました。DARTは、小惑星に衝突して軌道を変化させる技術を実証するための世界初の探査機です。
8月9日には、ESA/NASAの太陽探査機ソーラー・オービターが金星でフライバイを行い、金星表面から7995kmのところを通過しました。一方、NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブは、2021年に入ってから金星でのフライバイを2回、近日点通過を4回行いました。4月に太陽に接近した際に、太陽コロナの中を通過したとの発表が12月にあったのは記憶に新しいところです。
現在、金星では日本の「あかつき」、木星ではNASAのジュノーが観測を続けています。火星では上空からNASAのマーズ・リコネッサンス・オービター、メイブン、2001マーズ・オデッセイが、火星表面ではNASAの探査車キュリオシティや着陸機インサイトなどが観測中です。
1月にはジュノーとインサイトのミッションの延長が発表されました。ジュノーは2025年9月まで、インサイトは2022年12月までミッションが継続します。2001マーズ・オデッセイは4月7日、2001年の打ち上げから20周年を迎えました。同年10月に火星周回軌道に入って以降、今でも観測を続ける現役最古参の火星探査機です。