NASA(アメリカ航空宇宙局)の小惑星探査機オシリス・レックス(オサイリス・レックス)が小惑星ベンヌ(べヌー)を出発し、地球への帰還の途につきました。2021年5月10日午後4時23分(アメリカ東部夏時間、日本時間11日午前5時23分)、オシリス・レックスは7分間にわたりメインエンジンを噴射し、時速約1000kmで小惑星を離れて地球へ向けたおよそ2年半の旅に出発したのです。
2016年9月8日に打ち上げられたオシリス・レックスは、2018年12月3日に小惑星ベンヌに到着しました。2020年10月20日には小惑星のサンプル採取に成功。60グラム以上のサンプルが採取されたとみられています。
ベンヌを出発したオシリス・レックスは、太陽を2回周回したのち、2023年9月24日にベンヌのサンプルが入ったカプセルを地球へ届ける予定です。カプセルは大気圏に突入後、パラシュートで降下し、アメリカのユタ州の砂漠に着地します。
回収後のカプセルはヒューストンにあるジョンソン宇宙センターのキュレーション施設に運ばれます。約6か月後、世界中の研究グループへサンプルの一部が配布されることになっています。
地球への帰還日が5月に設定されたのは、ベンヌと地球の位置関係から帰還時の燃料の消費が少なく済むためです。オシリス・レックスはカプセルを地球に届けた後、別の小惑星へのミッションを行う可能性があり、燃料をできる限り温存しようとしています。オシリス・レックスのチームでは今年の夏に、そのようなミッションの実現可能性を調査する予定とのことです。
(参照)NASA