日欧共同の水星探査機ベピコロンボが、2021年10月2日(日本時間、以下同じ)に水星でのフライバイ(スイングバイ)を行いました。フライバイとは、惑星など天体の近くを飛行し、惑星の重力を利用して探査機の速度を変える技術のことです。ベピコロンボは2日午前8時34分41秒、水星表面から199kmまで接近しました。
アストロピクスでは、今回のフライバイの際に撮影された水星の画像のうち、最初に公開された1枚を昨日紹介しました。その後もESA(ヨーロッパ宇宙機関)から、フライバイ時の画像が何枚か公開されましたので、今回の記事ではそれらの画像を紹介します。
この画像は午前8時44分57秒に、水星から2687km離れたところから撮影されたものです。水星の南半球の一部が映っています。直径251kmのハイドン(Haydn)・クレーターなどが見えています。昼夜境界付近では太陽光が低い角度から当たるため、起伏をはっきりと見ることができます。ハイドン・クレーターの右下には「アストロラーベ断崖(Astrolabe Rupes)」と呼ばれる地形が見えています。
こちらは午前8時40分27秒、水星から1183kmの距離にあるときに撮影された画像です。探査機の一部は露出オーバーで真っ白になっています。前の画像と同じくアストロラーべ断崖などが見えています。
この画像は午前8時41分12秒、水星から1410kmの距離にある時に撮影されたものです。画像上端に直径324kmのラファエル・クレーター(Raphael Basin)、その近くにある直径95kmのフローベール(Flaubert)・クレーターなどが映っています。
こちらは昨日紹介した画像です。午前8時44分12秒、水星から2418kmの距離にある時に撮影されました。画像について詳しくは前回の記事をご覧ください。
ベピコロンボは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「みお(MMO)」とESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO)、電気推進モジュール(MTM)などが結合した形で水星へ向かっています。フライバイ時には探査機のメインのカメラはまだ使うことができないため、今回紹介した画像はいずれも、MTMに設置されているモニタリングカメラで撮影されたものです。
ベピコロンボはこれまで、地球で1回、金星で2回(2020年10月15日、2021年8月10日)のフライバイを行ってきました。水星では6回のフライバイが予定されており、今回がその1回目のフライバイでした。合計9回のフライバイの後、ベピコロンボは2025年12月に水星へ到着する予定です。
Image Credit: ESA/BepiColombo/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA