NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」が、火星での飛行に成功しました。地球以外の惑星で制御された動力飛行に成功したのはインジェニュイティが史上初めてです。
画像はインジェニュイティのナビゲーションカメラで撮影した、火星表面に映るヘリコプターの影です。なおナビゲーションカメラは、飛行中に自律的に地面を追跡するためのカメラです。
火星ヘリコプターは2021年4月19日16時34分(日本時間)に飛行を開始しました。高度計のデータは、インジェニュイティが3mまで上昇し、30秒間ホバリングしたことを示しています。その後下降し、地表に着地しました。飛行時間は39.1秒間でした。JPL(ジェット推進研究所)のインジェニュイティチームがデータを受信して成功を確認したのは、3時間ほど後の19時46分でした。
飛行成功の確認後、NASAはインジェニュイティが飛行を行った場所を、人類初の動力飛行を行ったライト兄弟に敬意を表して「Wright Brothers Field」と名付けたと発表しました。
インジェニュイティが飛行している間、火星探査車パーサヴィアランスは64.3mほど離れた場所から飛行の様子を記録していました。ローバーのMastcam-ZやNavcamで撮影された画像が今後公表されると思われますので、アストロピクスでも紹介していくつもりです。
インジェニュイティの飛行試験期間は30sol(火星日)が充てられています。その期間のうち、現在は16sol目です。ヘリコプターチームは今後3solをかけて全てのデータと画像を受信して分析し、4月22日以降に予定されている2回目の飛行試験の計画を立てることになるとのことです。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
(参照)JPL