衝撃のNASA予算案 惑星探査ミッションはどうなる? | アストロピクス

衝撃のNASA予算案 惑星探査ミッションはどうなる?

有人での月面着陸を目指すアルテミス計画の見直しなど、NASA(アメリカ航空宇宙局)の予算案が大きな話題となっています。今回の記事では、公表された資料をもとに、NASA主導の(月を除く)惑星探査ミッションがどうなっているのかを調べてみました。なお最終決定ではないことに注意してください。

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火星ミッション

火星サンプルリターンの概念図。Credit: NASA/ESA/JPL-Caltech
火星サンプルリターンの概念図。Credit: NASA/ESA/JPL-Caltech

まずは火星関連のミッションです。続行されるのは次の3ミッション。

  • パーサヴィアランス
  • キュリオシティ
  • マーズ・リコネッサンス・オービター

以下は終了・中止のものです。

  • 2001マーズ・オデッセイ
  • メイブン
  • 火星サンプルリターン

パーサヴィアランスとキュリオシティの2機の探査車は継続、周回機はマーズ・リコネッサンス・オービターのみ継続で、現役最古参の周回機2001マーズ・オデッセイと、火星の大気を調査しているメイブン(MAVEN)は終了となっています。また火星からサンプル(試料)を持ち帰ろうというESA(ヨーロッパ宇宙機関)との共同計画マーズ・サンプル・リターンも中止されます。

(参考)火星サンプルリターン計画

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火星以外のミッション

エウロパ・クリッパーの想像図。Credit: NASA/JPL-Caltech
エウロパ・クリッパーの想像図。Credit: NASA/JPL-Caltech

以下は火星以外のミッションで続行されるものです。

  • サイキ
  • ルーシー
  • エウロパ・クリッパー
  • ドラゴンフライ

小惑星帯にある金属が豊富な小惑星プシケを目指すサイキや、木星のトロヤ群小惑星の探査を目指すルーシー、木星の衛星エウロパの探査を目指すエウロパ・クリッパーは継続です。ルーシーは2021年10月、サイキは2023年10月、エウロパ・クリッパーは2024年10月に打ち上げられ、それぞれ目的地に向かって航行中の探査機です。土星の衛星タイタンの大気中を飛んで移動しながら探査を行おうというドラゴンフライも継続です。2026年の打ち上げ予定。

(参考)
金属が豊富な小惑星を目指す探査機サイキ
木星のトロヤ群小惑星を目指す探査機ルーシー
木星の衛星エウロパは生命に適した環境なのか 探査機エウロパ・クリッパー打ち上げ
タイタンの大気中を飛んで移動しながら探査するドラゴンフライ計画

ベリタスの想像図。Credit: NASA/JPL-Caltech
ベリタスの想像図。Credit: NASA/JPL-Caltech

以下はミッション終了・中止となるものです。

  • オシリス・エイペックス
  • ニュー・ホライズンズ
  • ジュノー
  • ダビンチ
  • ベリタス

小惑星ベンヌ(ベヌー)からサンプルを地球と届けた後で、新たに小惑星アポフィスへ向かっているオシリス・エイペックス(OSIRIS-APEX)、冥王星や太陽系外縁天体アロコスなどを観測し、現在エッジワース・カイパーベルトを航行中のニュー・ホライズンズ、木星を周回中のジュノーが終了となります。これらはいずれも、基本的なミッションを達成したのちに延長されている探査機です。

ダビンチ(DAVINCI)とベリタス(VERITAS)は、2028〜2030年に金星へ向けて打ち上げられる予定で進められていた探査機です。なおESA(ヨーロッパ宇宙機関)の金星探査機エンビジョン(EnVision)への参加も取りやめとなります。

(参考)
ニュー・ホライズンズ探査機、史上5機目の50天文単位に到達!
木星探査機ジュノーと火星探査機インサイト、ミッション延長が決定
NASA、2機の金星探査機を2028〜30年に打ち上げへ

なお、星間空間を航行中のボイジャー探査機は継続されます。

(参照)Fiscal Year 2026 Budget Request