金属が豊富な小惑星を目指す探査機サイキ | アストロピクス

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金属が豊富な小惑星を目指す探査機サイキ

※サイキの打ち上げは当初10月5日に予定されていましたが12日に変更、さらに天候の関係で13日に変更されました。それに伴い、打ち上げ日時に関する記述を変更しました(10月12日)。

プシケを観測する探査機サイキの想像図。Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin
プシケを観測する探査機サイキの想像図。Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin

小惑星プシケを目指すNASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機サイキが、2023年10月13日に打ち上げられる予定です。アメリカ、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターから、スペースX社のファルコンヘビーロケットで打ち上げられます。

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金属が豊富な小惑星プシケ

プシケの想像図。Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
プシケの想像図。Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU

プシケは、火星と木星の間にある小惑星帯に存在する小惑星です。太陽〜地球間の3倍ほどの距離のところを公転しています。ジャガイモのような不規則な形をしており、幅は最大で280kmほどです。おそらく岩石と金属が混合してできており、金属が体積の30〜60%を占めると見られています。このような金属が豊富な小惑星を目指すミッションは史上初めてです。

地球などの岩石惑星は、かつて微惑星が衝突・合体して形成されたと考えられています。プシケは、微惑星の外層が衝突によってはぎとられて核が露出したもの、あるいは核の一部である可能性があると考えられています。岩石惑星の核は、天体の中心部にあるため直接観測することができません。プシケを探査することで、岩石惑星の核がどのように形成されたのかについて知見が得られるかもしれません。

一方、プシケが微惑星の核ではない場合、これまで誰も見たことのない、非常に珍しい種類の原始の太陽系天体であることが判明するかもしれません。

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6年かけて目的地へ

10月13日の打ち上げの場合、リフトオフは23時19分(日本時間)に行われます。その時刻に打ち上げられなければ、打ち上げは翌日以降に持ち越されます。打ち上げ可能な期間は10月25日までですが、打ち上げ時刻は30分程度しか変わりません。

打ち上げ後、サイキは約6年間かけて小惑星プシケに向かいます。プシケへの到着は2029年8月の予定です。その間、2026年5月には火星でフライバイを行います。火星への最接近時、サイキは火星上空3000〜4400kmを飛行すると見られています。

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高度の異なる4つの軌道からプシケを観測

プシケに到着後、サイキは少なくとも26か月間、プシケを周回する予定です。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

こちらはプシケに到着後の探査機の軌道を表したものです。サイキは異なる高度の4つの軌道から小惑星の観測を行います。4つの軌道は高度の高い順にA〜Dまでアルファベットが付けられていますが、必ずしもアルファベット順にミッションが進行するわけではありません。現段階で想定されているのは、A→B1→D→C→B2の順です。

軌道A(ORBIT A)は709kmの距離を32.6時間で1周します。56日間で41周回。軌道B(ORBIT B)は303kmのところを11.6時間で周回します。B1は92日間で190周回、B2は100日間で206周回の予定です。軌道C(ORBIT C)は190kmの高度を7.2時間で周回。100日間で333周回します。軌道D(ORBIT D)は小惑星に最も接近します。高度は75kmで3.6時間で1周します。100日間で666周回することになっています。

(参照)JPLPsyche Press Kit