タイタンの大気中を飛んで移動しながら探査するドラゴンフライ計画 | アストロピクス

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タイタンの大気中を飛んで移動しながら探査するドラゴンフライ計画

NASA(アメリカ航空宇宙局)は2019年6月27日、土星の衛星タイタンにドローンのような観測機を飛ばす「ドラゴンフライ」ミッションを、ニュー・フロンティア計画の一環として採択したと発表しました。上の画像は、タイタン大気を飛行中のドラゴンフライの想像図です。

土星の衛星タイタンには、表面気圧が地球より高い1.5気圧ほどの、窒素を主成分とした分厚い大気があります。その大気中に8つの回転翼を持つ観測機を飛ばし、移動しながらタイタン表面のさまざまな場所を探査しようという計画です。地球以外の天体の大気中を飛行する計画としては、マーズ2020に搭載され、火星大気中を飛行する予定のマーズコプターがありますが、マルチローターのものとしてはドラゴンフライが初めての機体になります。

タイタンの環境は、生命が生まれたころの初期の地球に似ているのではないかといわれています。地球でどのように生命が誕生したのか、ドラゴンフライはその謎に迫る手がかりを得ることができるのではないかと期待されています。タイタンの砂丘やクレーターの底など、さまざまな場所に着陸し、サンプルを採取しつつ調査を進めます。

ドラゴンフライの着陸に適した気候が穏やかな時期、最初の着陸地点として安全な場所、科学的に興味深い場所などを選定するため、2017年に土星大気に突入して探査を終えたカッシーニ探査機の13年に渡るデータが利用されました。

打ち上げ予定は2026年、タイタン到着は2034年を予定しています。最終的には175km以上の距離を飛行するとのことです。ちなみに、これまで地球以外の天体の表面で最も長距離を移動したのは、NASAの火星探査車オポチュニティで、総走行距離は45.16kmでした。

Image Credit: NASA/JHU-APL

https://www.nasa.gov/press-release/nasas-dragonfly-will-fly-around-titan-looking-for-origins-signs-of-life