ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた天王星の上層大気 | アストロピクス

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた天王星の上層大気

この画像に映っているのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた天王星です。ウェッブ望遠鏡のNIRSpec(近赤外線分光器)で撮影されました。この画像には、雲のはるか上空でかすかに輝く分子(H3+、水素分子イオン)がとらえられています。画像は2025年1月19日に撮影されました。

こちらの動画では、天王星の自転のようすが約15.4時間にわたり映し出されています。天王星の自転のほぼ1周分の連続観測データをもとにしたタイムラプス動画です。天王星が回転するにつれて、上層大気の構造やオーロラがどのように変化しているのかが映っています。

天王星の自転周期は約17.2時間ですが、そのうちのほぼ1周分に近い約15.4時間を連続して観測できたのは、ウェッブ望遠鏡ならではです。地上の望遠鏡では地球の自転によって目標天体が隠れてしまうため、10数時間にわたり連続で観測することはできません。ウェッブ望遠鏡は、地球から太陽と反対方向へ約150万km離れたL2(第2ラグランジュ点)に設置されていることで、このような連続観測が可能になりました。

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雲の上5000kmまでの電離層を3次元的にとらえた

イギリス、ノーザンブリア大学のPaola Tiranti氏らの国際研究チームはウェッブ望遠鏡を使い、天王星の雲頂から最大5000kmまで広がる電離層を調べました。その結果、電離層の垂直方向の構造が初めて明らかになりました。高度3000〜4000kmのところで温度が最も高くなり、またイオンの密度は高度約1000km付近で最大になっていることがわかりました。天王星の上層大気を3次元的にとらえたのは今回が初めてです。

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天王星のオーロラと今も続く冷却傾向

天王星は磁場が自転軸から大きく傾き、さらに惑星の中心からもずれています。ウェッブ望遠鏡は、そんな天王星でのオーロラのようすも明らかにしました。

今回の観測により、天王星の磁極付近に2つの明るいオーロラ帯が検出されました。またオーロラ帯の間には、イオン密度が低く暗い領域が存在することがわかりました。これは木星でもみられる現象で、磁力線のつながり方が関係しているとみられています。

今回の観測ではまた、天王星の上層大気での1990年代初頭からの冷却傾向が今も続いていることが確認されました。ウェッブ望遠鏡が測定した平均温度は約426K(約153℃)で、これは過去に地上望遠鏡や探査機が記録した数値より低い温度です。

(参考)
天王星の詳細最新画像 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測
天王星の29番目の衛星を新たに発見 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測

Image Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, STScI, P. Tiranti, H. Melin, M. Zamani (ESA/Webb)

(参照)ESA/Webb