セファイド変光星がありIa型超新星が観測された銀河のハッブル画像コレクション

これらの銀河の画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したもので、いずれもかつてIa型超新星が観測されたことのある銀河です。またこれらの銀河では「セファイド変光星(ケフェウス座δ型変光星)」が発見されています。つまりどの銀河も、セファイド変光星とIa型超新星の両方が観測された銀河ということになります。

セファイド変光星は明るさが周期的に変化する星、Ia型超新星は高温・高密度の白色矮星が最期に見せる破滅的な爆発現象です。これら2つの天体現象は、どちらも天体までの距離を測定するために利用されます。

セファイド変光星は、変光の周期が長いほど絶対等級が明るいという「周期-光度関係」があり、見かけの明るさと比較することで銀河までの距離が分かります。一方のIa型超新星は、明るさの最大値がどれもほぼ一定であることから、最も明るいときの絶対等級を求めて見かけの明るさと比べることで距離を測定できます。

セファイド変光星と比べると、Ia型超新星のほうがより遠方の天体までの距離を測定できます。セファイド変光星とIa型超新星の両方を観測できる銀河では両方の天体現象による距離測定ができるため、距離測定の精度の向上に役立ちます。

遠い銀河ほど速い速度で遠ざかっていることがわかっており、そのような関係は「ハッブル-ルメートルの法則」と呼ばれています。ハッブル-ルメートルの法則は「v=H0×r」という関係で表されます。vは銀河が遠ざかる速度、rは銀河までの距離、H0は「ハッブル定数」と呼ばれる、宇宙の膨張率を示す比例定数です。ハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられたとき、その主な科学目標の1つはハッブル定数を正確に求めることでした。セファイド変光星やIa型超新星を観測して銀河までの距離を求めることは、より正確なハッブル定数を求めることにつながります。ハッブル定数は宇宙の年齢を求めるためにも重要な定数です。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測データから2000年代初頭までに、ハッブル定数は「72±8km/s/Mpc」と求められました。これは天体までの距離が1Mpc(1メガパーセク=約326万光年)遠くなるごとに秒速72±8kmずつ速くなることを示しています。最近では、ノーベル賞受賞者のアダム・リース氏らが主導する「SH0ES(Supernova, H0, for the Equation of State of Dark Energy)」プログラムが、冒頭の画像の銀河を含む過去40年間にハッブル宇宙望遠鏡が観測した全ての超新星のデータを用いて、ハッブル定数の値を「73.04±1.04km/s/Mpc」としました。

ただ、ハッブルの観測データから求められたハッブル定数は、標準的な宇宙モデルから予測されるハッブル定数と大きく異なっています。そのような違いがなぜ生じるのかはよく分かっていません。

なお冒頭のリストに載っている銀河の名称は以下の通りです。上の行の左から右へ順に並んでいます(リンク先は各銀河の画像を紹介したアストロピクスの記事のページです)。NGC 7541、NGC 3021、NGC 5643NGC 3254NGC 3147NGC 105NGC 2608NGC 3583NGC 3147Mrk 1337NGC 5861NGC 2525NGC 1015UGC 9391NGC 691NGC 7678NGC 2442NGC 5468、NGC 5917、NGC 4639、NGC 3972、アンテナ銀河、NGC 5584、M106、NGC 7250、NGC 3370、NGC 5728、NGC 4424、NGC 1559、NGC 3982、NGC 1448、NGC 4680、M101、NGC 1365NGC 7329、NGC 3447

Image Credit: NASA, ESA

(参照)ESA/HubbleHubblesite