これはハッブル宇宙望遠鏡がとらえた棒渦巻銀河NGC 5728の画像です。NGC 5728は、てんびん座の方向、約1億3000万光年の距離にあります。ハッブル宇宙望遠鏡のWFC3（広視野カメラ3）を使い、可視光と赤外線で撮影されました。
この画像を見る限り、NGC 5728は美しい棒渦巻銀河に見えます。ただNGC 5728は、「セイファート銀河」と呼ばれるタイプの銀河でもあります。セイファート銀河は、「活動銀河核（AGN）」と呼ばれる活動的な銀河中心核を持つタイプの銀河の一種です。
クエーサーのような他のタイプのAGNは大量の放射を発しているため、銀河自体を観測することはほとんどできませんが、NGC 5728のようなセイファート銀河は、画像のように銀河をはっきりと観測することができます。
上の画像でも、可視光や赤外線でみる限り、NGC 5728はごくふつうの銀河のように見えます。NGC 5728の銀河中心からは、WFC3ではとらえることができない波長の電磁波が大量に放出されているのです。ただしNGC 5728の中心にあるAGNからは、実際には可視光や赤外線も発せられているにもかかわらず、銀河中心を取り囲む塵によって遮られている可能性があります。
画像は2021年9月27日にリリースされたハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚（Picture of the Week）」です。
Image Credit: ESA/Hubble, A. Riess et al., J. Greene
（参照）ESA/Hubble
