天の北極に近いりゅう座にある渦巻銀河UGC 9391を、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた画像です。地球から約1億3000万光年の距離にあります。
やや黄色みがかった中央のバルジから、星々がちりばめられた渦状腕が伸びています。背景にはより遠方にある多くの銀河が小さく映っているほか、UGC 9391よりも手前にある星も映っています。放射状に伸びる光のすじを伴っているのが手前にある星です。
UGC 9391では「セファイド変光星(ケフェウス座δ型変光星)」と呼ばれる種類の変光星が発見されています。また「Ia型超新星」が観測されたことがあります。
セファイド変光星には、変光の周期が長いほど絶対等級が明るいという「周期-光度関係」があり、見かけの明るさと比較することで銀河までの距離を測定できます。一方、Ia型超新星は、明るさの最大値がどれもほぼ一定であることから、最も明るいときの絶対等級を求めて見かけの明るさと比べることで距離を測定できます。
セファイド変光星とIa型超新星では測定できる距離が異なり、Ia型超新星のほうがより遠方の天体までの距離を測定できます。遠方の天体までの距離は、このような異なる方法を組み合わせて測定されています。さまざまな測定方法を「はしご」のようにつなぐことから、そのような手法は「宇宙の距離はしご」と呼ばれています。
セファイドによる距離測定と、Ia型超新星による距離測定のどちらも行うことができるUGC 9391のような銀河は、距離測定の精度の向上に役立ちます。
画像は2021年12月27日にリリースされた、ハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」です。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.
(参照)ESA/Hubble