赤く輝く星雲を背景に浮かぶ暗く小さなガス球 ハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚」

この画像は、「魂星雲(IC 1848、W5)」と呼ばれる星雲の一部の領域をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたものです。

画像右下に高密度のガス雲が暗く映っており、画像中央左上には高密度の小さなガスの塊が存在しています。オタマジャクシのような形をしたこの暗い領域は「frEGGs(Free-floating Evaporating Gaseous Globules)」と呼ばれる天体です。

frEGGsはEGGs(蒸発するガス状グロビュール)の一種です。frEGGsとEGGsはどちらも高密度のガスからなり、周囲より光蒸発しにくい領域です。光蒸発とは、若く高温の星から放射される紫外線によってガスが電離して分散していく現象です。

EGGsが発見されたのは最近のことで、特にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した(最近、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も撮影した)「創造の柱」の先端部にあることで知られています。frEGGsは頭と尾がある形状をもっており孤立していることでEGGsと区別されています。

frEGGsやEGGsは光蒸発しにくく、そのことが原始星の形成に重要な意味を持つと考えられており、frEGGsやEGGsの多くが新たな星の誕生の場になると見られています。

画像は2022年12月19日にハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開されました。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Sahai

(参照)ESA/Hubble