2023年11月11日から25日までの2週間、NASA（アメリカ航空宇宙局）は火星探査機や探査車へのコマンドの送信を中断します。地球と火星が「合」となるためです。
合は、地球から見て太陽と火星が同じ方向となるときのことで、約2年ごとに発生します。太陽のコロナから放出される高温の電離ガスが地球から火星探査機に送信される無線信号を破損させ、探査機が予期せぬ行動を起こす可能性があるため、ミッションは一時中断されます。
通信中断中も観測は続行
ただしその間も、探査機や探査車は観測を続けます。
探査車パーサヴィアランスとキュリオシティは、同じ場所にとどまったまま、地表の環境や気象、放射線の変化を監視します。火星ヘリコプターのインジェニュイティは地上に駐機した状態でカラーカメラを使って近くの砂の動きを観測する予定です。
火星上空を周回する探査機マーズ・リコネッサンス・オービターと2001マーズ・オデッセイは、火星表面の観測を続行します。探査機メイブンは火星大気と太陽との相互作用に関するデータ収集を続けます。
通信中断期間が過ぎると、周回機は保留中の全ての科学データを地球に中継し、探査機と探査車は再びコマンドの受信ができるようになります。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
