火星の北極冠の春 砂丘の表面に現れた暗い物質 | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

火星の北極冠の春 砂丘の表面に現れた暗い物質

この画像は、火星の北極冠をNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターがとらえたものです。

火星の自転軸は約25度傾いており、地球と同じように季節変化があります。火星の北極では、冬に成長し春に後退する季節的な極冠が存在します。そのような火星の季節的な極冠は、主に二酸化炭素の氷(ドライアイス)でできています。

画像は北半球の春に撮影されたもので、季節的な霜や氷で大部分がおおわれた北極の砂丘が映っています。春の日差しが氷に当たると、太陽光の一部が氷の底まで達して砂丘の表面を温めます。温まった砂が二酸化炭素の氷を下から蒸発させてガス圧が高まります。それにより氷が割れ、圧力が解放されることで暗い砂が地表に運ばれます。画像に映る暗い部分は、そのようにして噴き出した暗い砂が地表に落ちたものです。

マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ(アリゾナ大学)では、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2010年3月16日に撮影されたもので、2022年11月25日のHiPODとして紹介されました。

Image Credit: NASA/JPL/UArizona

(参照)HiRISE