NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が2021年10月24日、14回目の飛行に成功しました。上の画像は、14回目の飛行の際にナビゲーションカメラで撮影されたもので、火星表面に落ちるインジェニュイティの影が映っています。
14回目の飛行は23秒の間に高度5mまで上昇し横へ2m移動するという、短時間で移動距離も短いものでした。今回はローターの回転数を上げてのテストが主な目的だったからです。
インジェニュイティは、探査車パーサヴィアランスに取り付けられた状態で2021年2月に火星のジェゼロ・クレーターに着陸しました。着陸地付近では、季節的な要因で大気密度が低くなりつつあります。大気密度が低下する中でも推力を確保するため、ローターの回転数を上げることで対応することになったのです。
これまでの火星での飛行では、ローターの回転数は1分間に2537回転(2537rpm)でした。9月15日には、離陸しない状態で1分間に2800回転させるテストが行われました。その後18日には2700rpmで飛行するテストが行われる予定でしたが、飛行前のチェック中に異常が検出されたため延期になっていました。また地球と火星が太陽をはさんで反対側に位置することになった関係で、火星探査機へのコマンドの送信が停止されたこともあり、実際の飛行テストは10月24日に行われました。
NASA・JPL(ジェット推進研究所)は今回の飛行試験の成功により、インジェニュイティが今後、大気密度が低下する中でも数週間から数か月間にわたり飛行可能であることが証明されたとしています。
こちらはナビゲーションカメラでとらえた画像をつなげてアニメーションにしたものです。今回の飛行では、ナビゲーションカメラで1秒間に約7コマという高速撮影がはじめて行われました。なおインジェニュイティの過去の飛行についての記事は、こちらからご覧ください。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech