この画像は、火星の南極冠にある地形を、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターがとらえたものです。笑っているマークのようにも見えることから、このようなクレーターは「ハッピー・フェイス」とも呼ばれます。
火星の南極冠では、冬になると水の氷の層の上を二酸化炭素の氷の層が覆います。太陽光によって二酸化炭素の氷が昇華したことによって、この画像に見られる目や鼻、口にあたるような部分の形ができました。
こちらの画像は2011年に撮影された同じ地形の画像と比較したものです。「口」や「鼻」などの部分の形が変化しているのが分かります。このような変化を長期間にわたりモニタリングすることは、火星の長期的な気候の傾向を理解するのに役立つとのことです。
ちなみに火星では「ハッピー・フェイス・クレーター」と呼ばれるクレーターがいくつか見つかっています。アストロピクスでも以前、そのようなクレーターを二つ紹介したことがあります(過去記事「ハッピー・フェイス・クレーター」「火星にあるもう一つのハッピー・フェイス」)。
マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページでは、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2020年12月13日に撮影されたもので、2021年1月21日のHiPODとして紹介された画像です。
Image Credit: NASA/JPL/UArizona
(参照)HiRISE