NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機フェニックスが、着陸地点周辺を撮影した360度パノラマ画像。2007年8月4日に打ち上げられたフェニックスは2008年5月25日、火星への着陸に成功しました。画像は着陸後、数週間で撮影された数百枚の画像を合成したものです。
フェニックスは北緯68.22度の北極の平原に着陸。これまで火星に着陸した探査機の中で、最も高緯度な場所に着陸した探査機でした。着陸地点周辺の地面には、地球の永久凍土の表面に似た多角形のパターンがみられます。フェニックスは、表面下に水の氷の存在を確認するなどの成果を上げました。
NASAが火星の極地を目指したのはフェニックスが最初ではありません。NASAは1999年1月に打ち上げたマーズ・ポーラー・ランダーで、火星の南極地域への着陸を目指していました。しかしマーズ・ポーラー・ランダーは火星の大気圏に突入後に通信が途絶し、失敗に終わっていました。その影響で、2001年に計画されていたマーズ・サーベイヤー2001の周回機と着陸機のうち、着陸機の計画がキャンセルされました(周回機はマーズ・オデッセイ2001として実行されました)。
フェニックス(Phoenix)とは「不死鳥」の意味です。その名の通り、フェニックスの機体は、中止になったマーズ・サーベイヤー2001の着陸機が利用されました。またマーズ・ポーラー・ランダーの観測機器を改良し、フェニックスに搭載されていました。
フェニックスは基本ミッションとしては90火星日(地球時間で約92日)稼働するように設計されていました。2008年8月末までに、フェニックスは当初計画されていた90日間を終えましたが、ミッションはさらに延長されました。その後、着陸地点に冬が迫る中で、日照不足と悪天候のため10月28日にセーフモードに入り、11月2日を最後に通信途絶しました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/Texas A&M University