画像に映っているのは火星のマリネリス峡谷です。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスのデータを元に、火星表面に対して45度の角度から見ているように峡谷が立体的に再現されています。色はほぼ忠実に再現されており、高さは4倍に強調されています。
マリネリス峡谷は長さ4000km、幅200km、深さ10kmにも及ぶ大峡谷で、画像はその一部を示しています。
マリネリス峡谷の形成は、西に隣接するタルシス高地と関係していると見られています。タルシス高地には太陽系最大の火山であるオリンポス山や、「タルシス三山」と呼ばれる三つの巨大火山などがあります。かつてタルシス高地がマグマで膨張した際、周囲の地殻が引き伸ばされて引き裂かれ、最終的に崩れ落ちてマリネリス峡谷の巨大な溝ができたと考えられています。
マリネリス峡谷は場所ごとに、いくつかの名称がつけられています。画像手前に見える右側まで続いている峡谷は「メラス・カズマ(谷)」、その奥が「カンドール・カズマ」で、さらにその奥に小さな「オフィール・カズマ」があります。画像左上には「ヘベス・カズマ」が見えています。
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum), CC BY-SA 3.0 IGO
(参考記事)マーズ・オデッセイがとらえた火星のマリネリス峡谷、マーズ・エクスプレスがとらえた火星のマリネリス峡谷の中央部
(参照)ESA