周囲より盛り上がった古代の火星の河川の痕跡 | アストロピクス

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周囲より盛り上がった古代の火星の河川の痕跡

火星の大シルチスにある直径400kmのアントニアディ・クレーター内の一部を、火星周回機トレース・ガス・オービター(TGO)がとらえた画像です。2020年3月25日に撮影されました。画像の色は実際の色ではなく、クレーター内の岩石の組成の違いを強調したものです。

画像中央には、葉脈のようにも見える樹枝状の構造が見られます。これらの構造は、この地域にあった古代の河川ネットワークの痕跡です。

川はふつう、周囲より低いところを流れていますが、画像に映る河川の痕跡は周囲より高くなっています。水路が固い物質(おそらくは溶岩)で満たされた後、時間の経過とともに周囲のやわらかい岩石が侵食されたために、周囲より盛り上がった河川の痕跡が残されたのです。

TGOは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)とロシア・ロスコスモスが共同で進めるエクソマーズ計画で打ち上げられた探査機です。2016年3月に打ち上げられ、同年10月に火星の周回軌道に入りました。

Image Credit: ESA/ExoMars/CaSSIS

(参照)ESA