死にゆく巨大な星たちが作り出したガスと塵の雲 | アストロピクス

死にゆく巨大な星たちが作り出したガスと塵の雲

この画像に映っているのは、地球から約1万光年離れたところにある「AFGL 4106」という天体です。画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)に設置された観測装置「SPHERE」で撮影されました。オレンジ色に広がる複雑な雲の中心に、寄り添うように2つの「黒い点」が見えます。それらは、この天体の主役である2つの巨大な星の位置を示しています。

この2つの星は、たがいのまわりを回りあう「連星」です。どちらも晩年を迎えた質量が非常に大きな星(超巨星)ですが、それぞれやや異なる段階にあります。。一方(主星)は「赤色超巨星」という段階を終えたばかりの高温の明るい星で、もう一方(伴星)は現在、赤色超巨星の段階にある星です。

画像の中でオレンジ色に輝いているのは、星の外層から放出された膨大な量のガスや塵の残骸です。通常、単独の星からガスが放出されると、その広がり方はおおむね球状に近い形になります。しかしAFGL 4106では、伴星の重力の影響により、ガスの広がり方が複雑に歪められています。SPHEREは、地球の大気によるゆらぎをリアルタイムで補正し、非常に高いコントラストで撮影することができます。それにより、ガスと塵の雲の中に空洞やフィラメント状の構造など、さまざまな構造があることを明らかになりました。

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星の明るさが飽和して黒く見えている

黒く見えているのは、2つの星があまりにもまぶしいためです。星のまわりに広がる淡く暗いガスや塵を観測するには、カメラの露出時間を長くする必要があります。しかし、中心にある星は周囲の雲に比べて圧倒的に明るいため、露出時間を長くすると観測装置の検出器が限界を超えて飽和してしまいます。画像では、飽和した部分が黒く処理されています。

宇宙にある多くの星は連星として生まれますが、「相棒がいることが、星の最期にどのような影響を与えるのか?」という謎を解き明かすことが、今回の研究の大きな目的でした。

冒頭の画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2026年2月23日に公開されました。

(参考)
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Image Credit: ESO/G. Tomassini et al.

(参照)ESO