火星の超巨大火山 オリンポス山

火星には巨大な火山がいくつか存在しています。その中でも最大の火山が、この画像に映っているオリンポス山です。画像はバイキング1号1978年に撮影したデータからモザイク合成されたものです。

オリンポス山は斜面がなだらかな楯状火山です。高さ25km、裾野の直径は600km以上もあります。これは北海道がすっぽりと入ってしまうほどの直径です。山頂には直径80kmものカルデラがあり、また裾野の周囲は高さ6kmの崖で囲まれています。

地球上で最も大きな楯状火山は、ハワイ島のマウナロア山です。マウナロアは高さ10km、直径120kmほどで、それと比べてもオリンポス山がかなり巨大であることがわかります。オリンポス山の体積はマウナロアの約100倍もあります。

火星の火山はオリンポス山だけでなく、巨大なものがいくつもあります。それはなぜでしょう。

地球の表面は10数枚の「プレート」という岩板でおおわれ、たがいに動いています。地球上の火山は、プレート境界の沈み込み帯や海嶺付近に多く存在しているほか、プレート内で噴火する火山もあります。プレート内の火山は「ホットスポット」と呼ばれ、地下の同じ場所からマグマが供給されますが、その間にプレートが動くためにハワイ諸島のように複数の火山ができていきます。

一方、火星にはプレート運動がありません。そのため長い間、同じ場所に地下からマグマが噴出したために巨大火山が形成されたのです。

※2019年5月28日に公開した記事に大幅に加筆しました(2021年10月28日)。

Image Credit: NASA/JPL

(参照)Planetary PhotojournalMars Exploration