このパノラマ画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスがナビゲーションカメラとらえたものです。将来の火星サンプルリターン(MSR)計画での着陸場所の候補地としてふさわしいかどうかを調べるために2022年4月14日(409火星日)に撮影されました。
パーサヴィアランスは、これまで火星の岩石のサンプルを9つ採取しチューブに密封して保管しています。2022年7月6日には、ジェゼロ・クレーターのデルタ地帯ではじめてサンプルが採取されました。
MSR計画は、パーサヴィアランスが火星表面に投下したサンプルチューブを回収し、火星表面から打ち上げて地球へ送り、地球の研究室でそのサンプルを分析して過去の火星の生命の痕跡を探ろうというものです。NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)との協力のもと進められています。
他の惑星から宇宙機が打ち上げられたことはなく、MSRは非常に野心的なミッションです。ただサンプルの持ち帰りに成功すれば、火星の過去の生命の痕跡や、火星の初期進化を探るまたとない機会となります。
平坦な方が着陸にも適していることから、MSRの大気圏突入〜着陸に関するチームでは、半径60mのパンケーキ状の平坦な着陸地点を探しています。望ましいのは、大きな石(特に直径19cm以上)や砂丘、急斜面などがない場所です。
画像に映るあたりの一帯は、周回軌道上の探査機からの観測で滑走路のように平坦で長く見えており、MSRチームは「ランディング・ストリップ(着陸帯)」と呼んでいました。しかし詳細を知るためには、探査車による撮影が必要でした。パーサヴィアランスの観測により、この場所はMSRの着陸とサンプルチューブ回収の候補地の一つとなると見られています。
この画像もパーサヴィアランスがナビゲーションカメラで撮影したものです。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech