アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機HOPE(ホープ、アラビア語で「Al Amal[アル・アマル]」)は2021年2月9日、火星の周回軌道に入りました。画像は軌道投入翌日の2月10日に、ホープに搭載されたカメラEXI(Emirates eXploration Imager)で高度2万4700kmから撮影された火星です。
画像左上が火星の北極になります。縦に三つ並んだ火山が目立っていますが、これらは火星のタルシス地域にある「タルシス三山」と呼ばれる三つの火山です。上(北)からアスクレウス山、パボニス山、アルシア山です。タルシス三山の左側、昼夜の境のところに太陽系最大の火山オリンポス山がうっすらと見えています。
タルシス三山の右には「ノクティス・ラビリントス」と呼ばれる迷路状の地形、さらにその右には長さ2000km以上に及ぶマリネリス峡谷が映っています。マリネリス峡谷内には雲が満ちていてフラットに見えています。(参考記事)「火星の高度マップ」
なおEXIはホープに搭載された三つの科学機器のうちの一つです。紫外線分光器(EMUS)とともに、UAEのMBRSC(ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター)と、アメリカ・コロラド大学ボルダー校大気宇宙物理研究所(LASP)とで開発されました。
ホープは今後、火星の1年(約687日)にわたり火星を周回しつつ、火星大気に関するデータを収集する予定です。
Image Credit: MBRSC/UAE Space Agency/CU-LASP/EMM-EXI
(参照)LASP/CU-Boulder