溶岩チューブの天井が崩落してできた火星の縦穴 | アストロピクス

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溶岩チューブの天井が崩落してできた火星の縦穴

この画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)がとらえたもので、火星の北半球にあるヘパイストス・フォッサ(Hephaestus Fossae)の一部を撮影したものです。

画像に映る縦穴は、地下の溶岩チューブの天井が崩落してできた「天窓」です。溶岩チューブは、火山活動によってマグマが地下を流れたときの通路で、マグマが流れ出てしまうと空洞になります。画像の竪穴では溶岩チューブの底面も見えています。

画像の縦穴はエリシウム山の近くにあります。アストロピクスでは、同様にエリシウム山付近で観測された縦穴の画像を紹介したことがあります。

溶岩チューブに通じる縦穴は地球にも存在しています。地球以外では2007年に火星で初めて発見され、2009年には月でも発見されました。溶岩チューブの内部は、放射線や隕石衝突から守られ、また温度も比較的安定していることから、将来的な基地の候補地としても注目されています。

MROに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ(アリゾナ大学)では、MROが撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2023年9月7日に撮影されたもので、2023年11月1日のHiPODとして紹介されました。

Image Credit: NASA/JPL/UArizona

(参照)HiRISE