冬の終わり、霜が昇華しつつある火星のクレーター内の砂丘

一見すると地球の砂漠をとらえた衛星写真のようにも見えますが、実はこの画像は火星の風景をとらえたものです。

画像は火星探査機トレース・ガス・オービター(TGO)がとらえたもので、火星の北半球にあるロモノソフ・クレーターの中央にある砂丘が映し出されています。2020年12月2日に撮影されました。

撮影時、火星では北半球の冬が終わりに近づいていた時期で、この地域に降りていた霜が昇華しはじめていました。暗く見える部分は、霜が昇華して暗い色の玄武岩質の砂が見えているところです。砂丘の形状から、風が画像左下から右上へと主に吹いていたことが分かります。画像右側には、より暗い、玄武岩に富んだ霜のない堆積物が見られます。また同じく画像右側では明るい雲も見えています。

冒頭の画像は解像度を落として掲載しています。この画像は、冒頭の画像中央下あたりを、オリジナルの解像度のまま切り抜いたものです。砂丘や玄武岩質の砂が映っています。

こちらは画像右側をオリジナル解像度のまま切り抜いたものです。

TGOは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)とロシア・ロスコスモスが共同で進めるエクソマーズ計画で打ち上げられた探査機です。2016年3月14に打ち上げられ、同年10月に火星の周回軌道に入りました。今回紹介した画像は、打ち上げ5周年を記念して公開されたものです。

Image Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA