チャンドラX線望遠鏡がとらえたX線画像をハッブル宇宙望遠鏡の画像に重ね合わせた、惑星状星雲の画像コレクションが新たに公開されました。約2900光年から約5900光年の距離にある6つの惑星状星雲の画像です。
太陽程度の恒星は晩年になると膨張して赤色巨星となります。赤色巨星はやがて星の外層のガスを宇宙空間へ放出し、中央には「白色矮星」と呼ばれる高密度の小さな星が残ります。
赤色巨星から放出されたガスの殻は、天文学的に見れば非常に短い期間(数万年)だけ星の周囲に残ります。そのガスが中心にある白色矮星の紫外線によって電離して輝くのが惑星状星雲です。ガスはやがて宇宙へ散逸してしまい、惑星状星雲は輝きを失います。私たちの太陽も、50億年ほど後には同じ運命をたどると考えられています。
今回公開されたのは6つの惑星状星雲の画像です。ハッブル宇宙望遠鏡の画像には、星から放出されたガスの繊細な構造が映し出されています。チャンドラX線望遠鏡のデータの色は、それぞれの画像でハッブルの画像と区別できるように付けられています。
6つの惑星状星雲はいずれも似たような物理的条件から生まれ、似たようなプロセスで進化してきました。しかし現在の外観はそれぞれやや異なっています。これらの惑星状星雲の形や構造の違いは、伴星の有無などさまざまな条件が複雑に絡み合っている可能性があります。
以下、それぞれの画像を1つずつ紹介します。
NGC 6302は「バタフライ星雲」とも呼ばれます。チャンドラX線望遠鏡のデータはマゼンタに色付けられています。ハッブル宇宙望遠鏡のみの画像→参考記事:ハッブルがとらえた「バタフライ星雲」の最新画像
IC 418は「スピログラフ星雲」とも呼ばれます。チャンドラX線望遠鏡のデータはシアンに色付けられています。ハッブル宇宙望遠鏡のみの画像→参考記事:スピログラフで描いた図形のような惑星状星雲IC 418
NGC 3242。チャンドラX線望遠鏡のデータは青に色付けられています。
NGC 7662。チャンドラX線望遠鏡のデータは青に色付けられています。
NGC 7027。チャンドラX線望遠鏡のデータはマゼンタに色付けられています。ハッブル宇宙望遠鏡のみの画像→参考記事:ハッブルがとらえた惑星状星雲NGC 7027の最新画像
NGC 2371。チャンドラX線望遠鏡のデータは紫に色付けられています。