これらの画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが2003年2月14日に撮影したものです。それぞれ異なる角度から火星を撮影したもので、6枚で火星表面の全体が映し出されています。画像が撮影されたとき、火星の北半球は真夏、南半球は真冬でした。
上段中央の画像には太陽系最大の火山であるオリンポス山や、タルシス地域にある「タルシス三山」と呼ばれる3つの巨大火山が映っています。またその画像や上段右の画像にはマリネリス峡谷が見えています。
南北両極の白いところは極冠です。北極では水の氷からなる極冠が露出して見えています。北極冠では冬の間は水の氷の上を二酸化炭素の氷(ドライアイス)が覆います。夏になると二酸化炭素の氷が昇華して水の氷が露出します。一方、真冬の南極冠では、二酸化炭素の氷の極冠が広がっています。
下段中央の画像の南の方には巨大な衝突盆地であるヘラス平原(楕円形の白っぽい領域)が見えています。火星の南半球は北半球と比べ、標高が高い高地が大部分を占めていますが、ヘラス平原内は標高が低くなっています(参考記事:火星の高度マップ)。標高の低いところでは、比較的高い温度で二酸化炭素が凍結するため、かなり北の方まで二酸化炭素の氷に覆われています。
6枚の画像を見ると、惑星全体の明暗や雲のパターンなども分かります。熱帯や亜熱帯の地域では水の氷からなる雲が多く、またエリシウム地域やタルシス地域の巨大火山(上段左、上段中央、下段右の画像)には、地形的に形成された雲がかかっています。
Image Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems