火星の南極の氷の下からあらわれ風に流された塵 | アストロピクス

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火星の南極の氷の下からあらわれ風に流された塵

この画像は、火星の南極冠をNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが撮影したものです。南極冠の上に見られた暗い塵が映し出されています。

地球の極地と同じように、火星の北極や南極でも白夜や極夜があります。白夜は太陽が一日中沈まない時期、極夜は太陽が一日中昇らない時期のことです(参考記事:フェニックスが撮影した火星の北極の白夜)。

火星の南極では、冬の極夜の間に二酸化炭素の氷(ドライアイス)が蓄積して季節的な極冠を形成します。春になり太陽が昇ると、二酸化炭素の氷は昇華します。画像に見られる暗い塵は、氷の下の地表からやってきたものです。氷がなくなった場所から出てくるか、あるいは間欠泉のように氷の下から噴き出してくる可能性もあります。

いずれにしろ表面に出てきた塵は、風によって吹き飛ばされて扇状に広がります。画像を見ると、塵が複数の方向へ吹き飛ばされていることから、風がさまざまな方向へ吹いていることが分かります。このようなデータは、火星の南極付近での気象パターンを研究するために利用されます。

マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載されたHiRISEというカメラのウェブページでは、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。冒頭の画像は2007年4月1日に撮影されたもので、2019年5月5日のHiPODとして紹介された画像です。

Image Credit: NASA/JPL/UArizona

(参照)HiRISE