この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機2001マーズ・オデッセイがとらえたものです。マーズ・オデッセイは通常、探査機の真下方向を観測していますが、カメラの向きを変えて地平線方向を撮影しました。火星表面には最大の火山オリンポス山が見えています。画像は2024年3月11日に撮影されました。
オリンポス山は、太陽系全体でも最大といわれている火山で、すそ野の直径が600kmほどもあります。これは北海道がまるごと入ってしまうほどの広さです。高さは約27kmで、山頂にあるカルデラは直径が70〜80kmもあり、カルデラだけでも富士山のすそ野が収まってしまうほどの巨大さです。
マーズ・オデッセイが火星表面を撮影する際は、細長い帯状の画像を撮影します。そのためオリンポス山のような広範囲を1枚に収めることはできません。斜めから撮影することで、オリンポス山を1枚に収めることが可能になりました。
マーズ・オデッセイは最近、火星の地平線を高高度から撮影する取り組みを継続的に行っています。そのような画像を撮影することで、火星の雲や大気中の塵について調査することができます。
画像に映っている紫がかった色の層は、赤い塵と青みがかった水の氷が混ざったものだとみられています。その上に見られる青緑色の層は水の氷の雲で、高度50kmに達しています。
(参考)火星周回ステーションからはこう見える!? オデッセイがとらえた火星の地平線と大気の層
マーズ・オデッセイは火星10万周回を達成
マーズ・オデッセイは、2001年4月に打ち上げられ同年10月に火星周回軌道に入った現役最古参の火星探査機です。火星の観測を行うとともに、他の探査機や着陸機からのデータを地球に中継する役割も担ってきました。
マーズ・オデッセイは打ち上げから23年を経過し、2024年6月30日には、火星の周回数が10万回に達します。その間、140万枚以上の画像を撮影し、17.2テラビットの科学データを地球に送信しました。そのうち1.3テラビットは、火星表面でのミッションから地球への中継データです。マーズ・オデッセイはこれまで、着陸機フェニックス、インサイト、探査車スピリット、オポチュニティ、キュリオシティ、パーサヴィアランスのデータを中継してきました。
Main Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
(参照)JPL