火星周回ステーションからはこう見える!? オデッセイがとらえた火星の地平線と大気の層 | アストロピクス

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火星周回ステーションからはこう見える!? オデッセイがとらえた火星の地平線と大気の層

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機2001マーズ・オデッセイが、火星の地平線方向をとらえた10枚の画像の中の1枚です。マーズ・オデッセイは2023年5月、地球におけるISS(国際宇宙ステーション)と同じ約400kmの高度からそれらの画像を撮影しました。火星を周回する宇宙ステーションがあれば、そこにいる宇宙飛行士はこのようなアングルで火星を眺めることになるでしょう。

画像はマーズ・オデッセイのTHEMISカメラで撮影したもので、3チャンネルの赤外線データを組み合わせて作成された擬似カラー画像です。THEMISカメラは真下を向くように探査機に固定されており、このような地平線方向の画像を撮影することはまずありません。火星の大気を観測し、水氷の雲の層と塵の層の位置関係を調査するために、THEMISカメラが地平線方向に向けられました。

この観測は、3か月かけて準備されました。機体に固定されているため、THEMISカメラのみの方向を変えることはできないので、カメラを地平線方向に向けるには機体ごと向きを調整する必要があります。オデッセイのチームは今回、機体をほぼ90度回転させる一方で、太陽電池パネルに太陽光が当たりつつ温度に敏感な機器には太陽光が当たらないようにする必要がありました。その結果、マーズ・オデッセイのアンテナが地球とは別の方向に向くことになり、観測が終了するまでの数時間は探査機との通信が途絶えることになりました。

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衛星フォボスも撮影

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

こちらの画像に映っているのは、火星の衛星フォボスです。この一連の画像も、マーズ・オデッセイが地平線方向を撮影したときにとらえられたものです。

なお2001マーズ・オデッセイは、2001年4月に打ち上げられ同年10月に火星周回軌道に入った現役最古参の火星探査機です。

Main Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU

(参照)NASAPlanetary Photojournal