想定の10倍以上! 火星ヘリ、飛行回数が50回に到達!

パーサヴィアランスが2021年6月15日に撮影したインジェニュイティ。 Credits: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS
パーサヴィアランスが2021年6月15日に撮影したインジェニュイティ。 Credits: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS

NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」の飛行回数が50回に達しました。50回目の飛行は2023年4月13日(763火星日)に行われ、最高速度秒速4.6mで飛行距離は322.2m、最高高度18mで145.7秒間飛行しました。「Airfield Lambda」から離陸し「Airfield Mu」で着陸。着陸場所は直径約800mのベルバ・クレーター付近でした。なお高度18mは、49回目の飛行で記録した16mを抜き最高記録です。これまでの50回の飛行の総飛行距離は1万1546m、総飛行時間は5350秒(89分10秒)に及びます。

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部品には摩耗の兆候も

インジェニュイティは、探査車パーサヴィアランスの胴体に取り付けられた状態で2021年2月に火星へ到着し、4月19日に初飛行を行いました。地球以外の惑星で動力による制御飛行が可能であることを実証するための技術実証機で、当初は5回以内の飛行が想定されていました。しかしインジェニュイティは期待を大きく上回り、6回目の飛行から運用実証フェーズへと移行しました。

インジェニュイティには、スマートフォン向けのプロセッサやカメラなど既製品が多く利用されています。現在、部品の一部に摩耗の兆候が見られるとのこと。「さらに先へ進みたい」とインジェニュイティチームを率いるTeddy Tzanetos氏。「インジェニュイティのミッションが終わるのが明日なのか来週なのか、はたまた数か月後なのか、現時点では誰も予測できません。私が言えるのは、そのときは盛大なパーティーを開くことになるということです」

(参照)Mars Exploration Program