この画像は、火星のユートピア平原に見られる円形構造の一部です。これは衝突クレーターの名残りではないかと見られています。
こちらは冒頭の画像よりも広い範囲を映した画像です。円弧になっていることがはっきりと分かります。平らなところが埋もれた場合、時間経過とともに上に乗った物質が圧縮されても表面の高さはどこも同じだけ下がるので平らなままです。
しかしお椀のような形をしたクレーターが埋もれると、クレーターの外側より内側の方が上に乗る物質が多くなり、埋もれたクレーターの上の円形の領域で、より圧縮されて表面が下がります。そのためクレーターの縁の部分で割れ目が生じるのです。
堆積物などで埋もれてしまったこのようなクレーターは「ゴーストクレーター」と呼ばれます。
マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ(アリゾナ大学)では、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2020年5月4日に撮影されたもので、2021年7月13日のHiPODとして紹介されました。
Image Credit: NASA/JPL/UArizona
(参照)HiRISE