生まれたばかりの星の光をうけて赤く輝く散光星雲IC 4701

この画像に映っているのは、いて座の散光星雲IC 4701のクローズアップです。星雲全体は満月の2倍ほどの広さがあります。生まれたばかりの星々からの紫外線が星雲内の水素を電離することで、この画像のように赤みを帯びた光を放っています。暗く見える領域には大量の塵が存在しており、奥にある星からの光をさえぎっています。

IC 4701は、巨大な分子雲複合体の一部で、内部では新しい星々が生まれつつあります。それらのほとんどは太陽より質量が小さく、低温の赤い星です。より高温で大質量の星は少なく、誕生したとしてもすぐに核融合反応の燃料を使い果たして死んでしまいます。青く大質量の星や周囲にある輝くガスが、最近の星形成の目印となります。

画像はESO(ヨーロッパ南天天文台)パラナル天文台にあるのVST(VLTサーベイ望遠鏡)に搭載された2億5600万画素のカメラ「OmegaCAM」で撮影されました。オリジナル画像は16,823×16,823もある巨大なもの。OmegaCAMを使って南天の天の川の散光星雲、若い星や進化した星などをマッピングする「VPHAS+(VST Photometric Hα Survey of the Southern Galactic Plane and Bulge)」というサーベイ観測の一部です。アストロピクスでは干潟星雲(M8)カリーナ星雲ほ座超新星残骸など、これまでもVPHAS+の画像を紹介したことがあります。

2023年3月6日に公開されたESOの「今週の1枚(Picture of the Week)」。

Image Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit

(参照)ESO