地球に最も近い残骸の一つ「ほ座超新星残骸」の超高解像度画像 | アストロピクス

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地球に最も近い残骸の一つ「ほ座超新星残骸」の超高解像度画像

この画像に映っているのは「ほ座超新星残骸」です。南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)パラナル天文台にあるVST(VLTサーベイ望遠鏡)に搭載された2億5600万画素のカメラ「OmegaCAM」で撮影されました。

大質量星の多くは生涯の最期に、「超新星爆発」と呼ばれる大爆発をしばしば起こします。爆発で発生した衝撃波は周囲のガスを圧縮して複雑な糸のような構造を作り出します。その際、ガスが加熱されて画像のように明るく輝きます。

画像はOmegaCAMの観測データをモザイク合成したもので、オリジナル画像は22,845×22,845ピクセルもあります。満月が9個入るほどの範囲が画像に収められていますが、残骸全体はさらに広大です。

ほ座超新星残骸は、1万1000年ほど前に超新星爆発を起こした大質量星の残骸です。地球から800光年ほどの距離にあり、地球に最も近い超新星残骸の1つです。ほ座超新星残骸には、超新星爆発の後に残された中性子星が存在することも知られています(左上の枠外にあり画像には映っていません)。その中性子星は、1秒間に10回以上という驚くべき速さで自転しているパルサーです。

こちらはガス状の雲や明るい星など、冒頭の画像から12か所を選んでクローズアップしたものです。

画像は、OmegaCAMを使って南天の天の川の散光星雲、若い星や進化した星などをマッピングする「VPHAS+(VST Photometric Hα Survey of the Southern Galactic Plane and Bulge)」というサーベイ観測の一環で撮影されたもので、2022年10月31日にESOから公開されました。アストロピクスでは干潟星雲(M8)カリーナ星雲など、これまでもVPHAS+の画像を紹介したことがあります。

Image Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit

(参照)ESO