ボイジャー1号、正常な工学データの送信を再開! | アストロピクス

ボイジャー1号、正常な工学データの送信を再開!

星間空間を航行中のNASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機ボイジャー1号は、昨年11月以来、コンピューターシステムに不具合が発生し、意味のあるデータが送信されない状態が続いてきました。NASAは2024年4月22日(日本時間23日未明)、システムの状態などを示す意味のあるデータが、ボイジャー1号から再び送信されるようになったと発表しました。

ボイジャーからのデータは、バイナリコード(「1」と「0」の組み合わせ)の形式で送られてきます。2023年11月14日以来、意味をもたない1と0の繰り返しパターンが送られてきていました。

調査の結果、ボイジャー1号に搭載されている3つのコンピューターシステムのうちの1つ、フライトデータシステム(FDS)が今回の不具合に関係していることが判明しました。FDSは、科学データや工学データを収集して情報をパッケージ化する役割を担っています。パッケージ化されたデータは、探査機のサブシステムの1つである通信ユニット(TMU)によって地球に送信されます。

ボイジャーチームは、FDSメモリの一部を保存するチップの1つが機能していないことを突き止めました。そのチップには、FDSのソフトウェアのコードの一部が含まれており、そのコードが失われたことで、科学データおよび工学データが正常に送信できなくなっていたのです。

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コードを分割し、それぞれをメモリの別の場所に再配置

そこでチームは、失われたコードをFDSメモリの別の場所に再配置することにしました。ただコードのその部分全体をまとめて納めることができる場所がなかったため、コードをいくつかのセクションに分割し、それぞれをFDSメモリ内の別の場所に保存することにしました。

チームはまず、工学データをパッケージ化するコードから作業を開始。そのコードをFDSメモリの新たな場所へ配置するよう4月18日に送信しました。

ボイジャー1号は現在、地球から240億km以上離れたところに位置しており、データがボイジャー1号に届くまで22時間半、結果が地球に返ってくるまでさらに22時間半かかります。4月20日になってボイジャー1号から届いたデータにより、探査機の状態などを確認することができたとのことです。

今後は、科学データに関する部分など、コードの別の部分を再配置して調整する予定としています。

(参考記事)
ボイジャー1号、コンピューターシステムに問題発生(2023年12月13日掲載)
ボイジャー1号、復旧への手がかりを発見か!?(2024年3月14日掲載)
ボイジャー1号の不具合の原因を特定! 復旧まで数週間〜数か月か(2024年4月5日掲載)
ボイジャー1号、2号の現在地は? 今どこにいるのか

Image Credit: Caltech/NASA-JPL

(参照)JPL