ボイジャー1号は現在、地球から240億km以上離れた星間空間を航行中です。そのボイジャー1号でコンピューターシステムに不具合が発生し、2023年11月以来、意味のあるデータが探査機から送信されない状態が続いてきました。NASA(アメリカ航空宇宙局)は2024年4月4日(日本時間5日未明)、ボイジャー1号の不具合の原因を特定したと発表しました。
ボイジャー1号に搭載されている3台のコンピューターシステムの1つ、フライトデータシステム(FDS)のメモリの一部が破損しており、そのことが原因で読み取り不能なデータを送信していることが確認されたとのことです。
フライトデータシステムは科学データや工学データを収集し、情報をパッケージ化します。パッケージ化されたデータは、探査機のサブシステムの1つである通信ユニット(TMU)によって地球に送信されます。
FDSメモリの約3%が破損していることを確認
3月初旬、ミッションチームは「poke」というコマンドを送信し、FDSのメモリの情報を送り返すようボイジャー1号に指示しました。そのメモリには、プログラムのコードや、コードで使用される変数が含まれています。ミッションチームは送り返された情報から、FDSメモリの約3%が破損していることでコンピューターが通常の動作を実行できなくなっていることを確認しました。
1つのチップが機能していないのではないかとみられていますが、なぜそうなったのかについては、はっきりとは分かっていません。宇宙空間を飛び交う高エネルギー粒子がチップに衝突した可能性や、あるいは単に経年劣化による可能性が考えられるようです。
数週間から数か月かかる可能性はあるものの、ミッションの技術者は、使用できないメモリのハードウェアを使うことなくFDSを正常に動作させる方法を見つけ、ボイジャー1号が再び意味のあるデータを送信できるようになると楽観的な見通しを持っているとのことです。
(参考記事)
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Image Credit: Caltech/NASA-JPL