3例目の恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)をハッブル宇宙望遠鏡が撮影

この画像は、太陽系外からやってきた恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)をハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものです。2025年7月21日、地球から3億6500km離れたところを彗星が移動中に撮影されました。コマ(彗星核を取り巻くガスや塵)に包まれた状態で映っており、ハッブル望遠鏡といえども彗星の核は見えていません。ハッブル望遠鏡は移動する彗星を追いかけながら撮影したため、背景の星が線状に映っています。

ハッブル望遠鏡による観測から、彗星の核の大きさが従来より正確に推定されました。大きさの上限が5.6kmとみられる一方、最小で320mほどである可能性もあるとのことです。ハッブル望遠鏡はまた、太陽により温められた側から噴き出す塵のプルームや、核から流れる塵の尾の兆候もとらえました。

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時速20万9000kmの高速で移動中。太陽への最接近は10月末。

アトラス彗星は時速20万9000kmもの高速で移動しています。これは太陽系を訪れた彗星の中では史上最高の速度です。これまで何十億年もの間、アトラス彗星が星間空間を漂う中で、多くの恒星などの重力アシストにより速度を上げてきたと見られます。

アトラス彗星は2025年7月1日、ATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)での観測によって最初に報告されました。発見時の距離は、太陽から約6億4000万kmでした。2017年のオウムアムア(1I/ʻOumuamua)、2019年のボリソフ彗星(2I/Borisov)に次ぐ3例目の恒星間天体です。

太陽へは10月30日ごろに最接近し、約2億1000万kmまで近づきます。9月までは地上の望遠鏡で観測可能で、その後は太陽に接近しすぎて地上からは観測できなくなります。12月初旬に太陽の反対側から再び現れると予想されています。

(参考)
3例目の恒星間天体「3I/ATLAS」をジェミニ北望遠鏡が撮影
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Image Credit: NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA); Image Processing: J. DePasquale (STScI)

(参照)NASAESA/Hubble