小型月着陸実証機SLIMが3度目の越夜を達成したことを確認したと、SLIMプロジェクトのX(旧Twitter)のアカウントがポストしました。4月23日夜に、目覚めたSLIMと通信することに成功したとのことです。
SLIMが1度目の夜を越えて目覚めたのは2月25日夜、2度目に目覚めたのは3月27日夜のことでした。どちらも満月(2月24日、3月25日)よりも後でしたが、今回の3度目は満月(4月24日)より前に目覚めたことになります。またSLIMは月着陸直後に休眠に入りましたが、その休眠から目覚めたのも満月より後でした。
冒頭の画像は3度目の越夜後に航法カメラで撮影した月面です。これまでで最も早い月齢で撮影されたため太陽光が上の方から当たり、以前に撮影された画像と比べ岩の影が非常に短くなっています。
月面では約14日間ごとに昼と夜を繰り返します。SLIMは1月20日に月面への着陸に成功しましたが、想定とは異なる姿勢で着陸したため、太陽電池パネルから電力を得ることができずに休眠に入りました。その後、太陽電池パネルに太陽光が当たって電力が得られるようになり、1月29日から運用を再開。1月31日に日没に伴い休眠状態に入りました。2月25日に通信を再開後、3月1日に日没に伴い休眠。3月27日に目覚めて3月30日にまた休眠状態に入っていました。
月面の夜はマイナス170℃にもなる極寒の世界です。昼夜の温度差も激しく、SLIMはそのような環境に耐える設計になっていません。それにもかかわらず、3度にわたり越夜に成功したのです。
SLIMは主要機能を維持した状態とのことです。SLIMのチームは、月の昼夜の環境によって劣化が進行する箇所や、劣化しにくい箇所などを明らかにしていきたいとしています。
(参考記事)
【速報】月探査機SLIMが復活!(1月29日掲載)
月探査機SLIM、通信を再開(2月26日掲載)
月着陸機SLIM、2度目の夜を乗り越え復活!(3月28日掲載)
Image Credit: JAXA