ボイジャー1号の主な成果は? | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

ボイジャー1号の主な成果は?

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査機。ボイジャー2号とともに、木星や土星の探査を行いました(2号は天王星、海王星探査も行いました)。

Image Credit: NASA/JPL
Image Credit: NASA/JPL

ボイジャー1号は1977年9月5日に打ち上げられました。打ち上げられてほどなくしてボイジャー1号は、地球と月を1枚のフレームに収めた画像を撮影しました。打ち上げられたのはボイジャー2号より後(2号の打ち上げは同年8月20日)でしたが、ボイジャー1号の方が早く木星と土星に到達します。

Image Credit: NASA/JPL
Image Credit: NASA/JPL

1979年3月5日、木星に最接近。最接近時の距離は木星から28万kmでした。木星と衛星の写真撮影をし、木星の細いリングを発見したり、衛星イオで活火山を発見したりするなどの成果をあげました。地球以外で活火山が発見されたのは、イオが初めてのことでした。

Image Credit: NASA/JPL/USGS
Image Credit: NASA/JPL/USGS

1980年11月12日、土星に最接近。最接近時の距離は土星から12万6000kmでした。土星のリングを詳しく観測したほか、羊飼い衛星を発見するなどの成果をあげました。また、厚い大気に覆われているタイタンを観測し、大気の90%が窒素からなることを発見しました。タイタン表面に液体がある可能性も示唆されました。

土星を通過したボイジャー1号は、太陽系の外へと向かいました。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

1990年2月14日、ボイジャー1号は太陽から約40au(60億km)離れたところに位置していました。ボイジャー1号はその位置で太陽の方向を振り返り、太陽と惑星たちの「家族写真」を撮影します。そのとき撮影したものが、2機のボイジャーが映した最後の写真になりました。

スポンサーリンク

2012年8月1日に恒星間空間へ

太陽からは荷電粒子の流れである「太陽風」が絶え間なく吹き出しています。その太陽風が届く範囲を「ヘリオスフィア(太陽圏)」といいます。

太陽風は非常に遠方まで届きますが、やがて星間物質や星間磁場と衝突することで「ターミネーションショック(末端衝撃波面、終端衝撃波面)」が形成されます。その外側には「ヘリオシース」と呼ばれる太陽風が減速する領域があり、ヘリオシースの端、つまり太陽風の速度が0になるところは「ヘリオポーズ(太陽圏界面)」と呼ばれます。

ボイジャー1号は2004年12月ごろにターミネーションショックを通過したとみられています。そして2012年8月1日、ボイジャー1号はヘリオポーズをこえて恒星間空間へと入りました。ヘリオスフィアを抜けたのはボイジャー1号が史上初めてです。ボイジャー1号は現在、秒速約17kmの速度で恒星間空間を移動しています。

こちらの映像は、1977年の打ち上げから2017年12月までのボイジャー1号の軌道を示したものです(Credit: NASA's Scientific Visualization Studio)。木星の手前付近まではボイジャー2号と並走するように航行していました。木星や土星でのフライバイによって軌道の向きを大きく変化させていることがわかります。映像中に現れるグリッドは、ターミネーションショックとヘリオポーズを示しています。

2機のボイジャーには、遠い将来、ボイジャーを発見するかもしれない地球外知的生命へ向けたレコードが搭載されています。レコードには55の言語による挨拶、さまざまな生物の声や音楽のほか、地球の生物の画像115枚も収録されています。(参考記事)ボイジャー探査機の「ゴールデンレコード」

これまでアストロピクスに掲載したボイジャー1号関連の記事については、こちらをご覧ください。

(参考記事)ボイジャー1号、2号の現在地は? 今どこにいるのか

(参照)NASANASA's Scientific Visualization Studio