ボイジャー探査機の「ゴールデンレコード」 | アストロピクス

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ボイジャー探査機の「ゴールデンレコード」

今から45年前の1977年8月20日、NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査機ボイジャー2号が、そして9月5日にはボイジャー1号が打ち上げられました。それら2機のボイジャー探査機には、遠い将来、ボイジャーを発見するかもしれない地球外知的生命へ向けたレコードが搭載されています。このレコードは金メッキされていることから「ゴールデンレコード」とも呼ばれます。

レコードは直径30cmで、金メッキされた銅でできています。レコードを収めたジャケット(カバー)はアルミニウム製で、表面には超高純度ウラン238が電気メッキされています。ウラン238の半減期は44億6800万年で、その量を測定することで経過時間を知ることができるようになっています。

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レコードには何が収録されているのか

レコードには55の言語による挨拶、さまざまな自然の音や人工的な音、音楽のほか、さまざまな画像115枚がアナログの音として収録されています。

これは収録された画像の1枚です。木星画像の下には、木星の直径(142800km)と、地球を1とした時の木星の質量(318e)が書かれています。そのほかにも地球や火星の画像、DNA(デオキシリボ核酸)の構造の模式図、胎児や成人男女のシルエット、地球の大陸移動の図、スーパーマーケットや国連ビル、高速道路の写真など、さまざまな図や写真が収められています。各画像については「Images on the Golden Record」で見ることができます。

自然の音は波や風、雷の音のほか、鳥やクジラなどさまざまな動物の音が収録されています。音楽はさまざまな文化や時代から選曲されています。音については、NASAのウェブページ「Sounds of Earth」で聞くことができます。また選曲された音楽についてはNASAの「Music From Earth」にリストがあります。

挨拶については、日本語の「こんにちは、お元気ですか」という音声も収録されています。その他の言語も含め、挨拶の音声クリップはNASAの「Greetings to the Universe in 55 Different Languages」で聞くことができます。

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ジャケットには何が描かれているのか

こちらはレコードを収めたジャケットの画像です。ジャケットの表面には、レコードの使い方や情報の再現方法などが描かれています。

右下に小さな2つの円が並んでいるような図が描かれています。これはわずかにエネルギー準位が異なる水素原子の2つの状態を描いたものです。その準位間の遷移で放出される周波数1420MHzを周期に変換した0.7×10-9秒が、ジャケットの他の部分で示される時間の基準となっています。

ジャケットの左上には、レコードおよび一緒に運ばれる針付きのカートリッジの図が描かれ、その下にはレコードと針の側面図が描かれています。また「|」(=1)と「─」(=0)で表されたバイナリコードと右下の図で示される基準時間(0.7×10-9秒)を使ってレコードの回転数(3.6秒)やレコードの片面の再生時間(約1時間)を示しています。

ジャケットの右上側には、記録された信号から画像をどのように再現するのかが示されています。適切にデコードされた場合、最初に示される画像が円であることを示す図も描かれています。バイナリコードはスキャンの時間などを示しています。

左下に描かれている放射状の図はパルサーの地図です。これは14個のパルサーに対する太陽系の相対的な位置を示しています。またバイナリコードによって各パルサーの周期を示しています。

なお左下のパルサーと右下の水素原子の図は、パイオニア探査機に搭載された金属板にも描かれていました。

Image Credit: NASA

(参照)Voyager - The Golden Record