この画像に映っているのは、月の南極周辺です。NASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターのカメラLROCのWAC(広角カメラ)で撮影した画像をモザイク合成したものです。1か月間に撮影した288枚の画像が使われており、場所によって撮影日時が異なるため、太陽光の当たり具合も異なっています。画像は幅600kmほどの範囲が映っています。
月の極域は太陽高度が低く、クレーターの底などでは永久に太陽光が当たらない領域があります。そのような永久影の領域には、有人探査の際に役立つ氷やその他の揮発性化合物が潜んでいる可能性があります。またそのような揮発性物質の堆積物は、太陽系の歴史を探る上でも重要と見られています。一方で永久影の領域とは逆に、月の南極付近には長期間にわたり太陽光が当たり続ける場所もあります。
主なクレーターの名称
こちらは画像に映るいくつかの主なクレーターに名前を記入したものです。
2022年に無人での月周回に成功した「アルテミス1」に続き、NASAは有人での月周回を目指す「アルテミス2」、そして月面への着陸を目指す「アルテミス3」を計画しています。アルテミス3では月の南極付近への着陸が予定されており、シャックルトン・クレーター付近の山など、13の着陸候補地が発表されています。これらの候補地はいずれも、アルテミス3での月面滞在の間、継続して太陽光が利用できる場所です。
Image Credit: NASA/GSFC/Arizona State University
(参考記事)月の南極から見ると地球と太陽はどう見えるのか