NASA(アメリカ航空宇宙局)は、アポロ計画以来の有人月面着陸を目指す「アルテミス計画」を進めています。第1段階の「アルテミス1」では無人のオリオン宇宙船で月の周回軌道まで往復、第2段階の「アルテミス2」では宇宙飛行士が宇宙船に搭乗して(月面着陸はせず)月まで往復、そして第3段階の「アルテミス3」で月面着陸を行うことになっています。
そのアルテミス3での着陸の候補地点が2022年8月20日、NASAから発表されました。着陸候補となっているのは、上の画像にも示されている以下の13地点です。いずれも月の南極から緯度6度以内にあります。
- Faustini Rim A ファウスティーニ・クレーターの縁
- Peak Near Shackleton シャックルトン・クレーター付近の山
- Connecting Ridge シャックルトン・クレーターとデ=ヘルラテ・クレーターを結ぶ尾根
- Connecting Ridge Extension
- de Gerlache Rim 1 デ=ヘルラテ・クレーターの縁
- de Gerlache Rim 2
- de Gerlache-Kocher Massif デ=ヘルラテ・コッヘル山
- Haworth ハワース・クレーター
- Malapert Massif マラパート山
- Leibnitz Beta Plateau ライプニッツβ高原
- Nobile Rim 1 ノビレ・クレーターの縁
- Nobile Rim 2
- Amundsen Rim アムンゼン・クレーターの縁
画像に示されている各領域はおよそ15×15kmで、着陸地点はその中の半径100mほどの範囲になります。人類が足を踏み入れたことのない永久影の領域を含んでいます。永久影の領域には水の氷があると考えられており、科学的な観点からも、資源としての観点からも重要な場所です。
着陸候補地点には、さまざまな地形の場所が含まれています。またそれぞれの着陸地点は、打ち上げのタイミングとも密接に関係しており、複数の候補地があることで年間を通じて打ち上げを柔軟に行うことが可能になります。
候補地の選定には、地形の傾斜や地球との通信のしやすさ、日射条件などが考慮されました。また打ち上げロケットSLSやオリオン宇宙船、スペースX社の着陸船「スターシップ」などの性能面も総合的に考慮されています。
13の候補地は全て、アルテミス3において月面に滞在が計画されている6.5日間を通して、継続して太陽光を利用できる場所を含んでいます。月に長期滞在するにあたっては、動力源を確保するためにも、また温度変化を最小限に抑えるためにも、太陽光が当たる場所は重要になります。
NASAは今後、科学、工学のより広範なコミュニティと13の候補地について議論を行い、各候補地についての意見を求めることにしています。
Image Credit: NASA
(参考記事)アルテミス1、打ち上げから帰還までの予定
(参照)NASA