NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車スピリットがとらえた火星の360度パノラマ画像です。2006年4月18日から10月5日にかけて撮影された画像を合成したものです。
スピリットは2006年4月から10月にかけて、「ロー・リッジ」と呼ばれる小さな丘にとどまりました。その時期、スピリットがいた火星の南半球は冬でした。冬の期間を通して科学観測を行える電力を維持するため、スピリットは太陽電池パネルを太陽の方へ傾くようにとどまっていたのです。
中央右奥にある小高いところがロー・リッジです。そこには暗い色をした多孔質の火山岩が多く見られます。比較的明るくなめらかに見える岩は、隕石であると考えられています。
画像右奥の地平線上にある丘は「ハズバンド・ヒル」と呼ばれる場所です。スピリットは2005年にこの丘を登り降りしながら観測を行いました。
掲載画像は解像度を落としてあるため見づらいですが、画像右上の方にスピリットの車輪の跡があり、それが画像左端から手前のスピリットまで続いています。車輪の跡には、明るい物質が露出しているところもあります。この明るい物質は、硫黄の豊富な塩を含む鉱物で、かつてこの場所にあった水についての手がかりを与えてくれます。
2003年6月に打ち上げられたスピリットは、2004年1月4日に火星のグゼフ・クレーターへ着陸しました。それから7年近くにわたり移動しながら観測を続け、2010年3月22日に通信が途絶しました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Cornell Univ./Arizona State Univ.