この画像は、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスがとらえたもので、かつて火星にあった巨大な湖床の跡が画像右側に見えています。
こちらは、冒頭の画像の右下側にみられる「カラリス・カオス」と呼ばれる地形を3次元的に見たものです。カラリス・カオスは近くにある「アトランティス・カオス」とともに、かつて100万平方kmを超える広さの「エリダニア湖」が存在していた場所だと考えられています。冒頭の画像の下部中央から右上にかけて、湖の境界が見えています。
こちらは高低差を示した画像です。青い領域は標高が低く、そこにエリダニア湖が存在していました。
エリダニア湖は、火星の他のすべての湖をあわせたよりも多くの水をたたえていました。現在の地球にあるどの湖よりも大きく、カスピ海の3倍ほどの水に満たされていたと考えられています。おそらく37億年前ごろに一つの広大な湖として存在し、その後、火星が乾燥するにつれて、いくつかの孤立した小さな湖となりました。最終的には完全に消失します。
画像中央に見られる大きなクレーターには物質が流れた痕跡が、クレーターの南側の縁には削り取られた谷がみられます。それらは、エリダニア湖が消失したあとも、このあたりに水が存在していた可能性を示唆しています。
画像の左右側に、縦に走る溝状の地形(断層)が見られます。また画像を水平方向に走るリンクル・リッジという「しわ」状の尾根が見られます。これらは、太陽系最大の火山が存在する火星のタルシス地域が隆起した際に地殻にかかった大きなストレスに関係しています。
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin
(参照)ESA