火星探査車パーサヴィアランスに連れられて火星に降り立った、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」。当初の期待をはるかにこえて今でも飛行を続けています。
画像(映像)は、インジェニュイティが2022年4月8日に25回目の飛行を行った際に記録されたものです。秒速5.5mで704mの距離を飛んだそのときの飛行は、インジェニュイティにとってこれまでで最速かつ最長飛距離のものとなりました。
映像は、インジェニュイティの飛行開始の約1秒後から始まります。高度約10mに達した後、インジェニュイティは南西に向かい、3秒以内に最高速度まで加速しました。最初は砂紋の上を飛び、映像の半分あたりで岩場の上を飛行します。最後に、比較的平坦で特徴のない地形が現れます。映像は161.3秒間を約5倍高速化して35秒弱に短縮されています。
画像はインジェニュイティに搭載されているナビゲーションカメラで撮影されたものです。ナビゲーションカメラのデータは、飛行中にリアルタイムで位置や姿勢を決定するために使われています。ただナビゲーションカメラは、地表から高度1m以内では作動しないようにプログラムされています。離着陸時に舞い上がった塵が、ナビゲーションシステムに干渉しないようにするためです。
インジェニュイティはこの後も何度か飛行しており、現在は29回目の飛行に向けて準備が進められています。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech