NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が2021年7月5日、9回目の飛行に成功しました。
インジェニュイティには、秒速5mの速度で625mを飛行、約2分46秒間、空中にとどまるよう指示が送られていました。飛行時間と距離はこれまでの記録を更新し、離陸場所と着陸場所の間の距離も、これまでの飛行に比べ約4倍になりました。
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今回インジェニュイティが飛行したのは、「Séítah」と呼ばれる地域の上空です。パーサヴィアランスは現在、Séítahの東端に位置しています。Séítahは、車輪で移動する探査車にとって、走破するのが非常に難しい場所です。インジェニュイティは、そのSéítah地域上空を飛行し、南側の平原に着陸しました。
インジェニュイティの航法システムは、平地の上を飛行する比較的単純な技術実証向けに設計されています。実際、これまでのフライトでインジェニュイティは、ほぼ平坦な場所の上を飛行してきました。しかし9回目の飛行で横断したSéítahには、傾斜や起伏がありました。
起伏があってもインジェニュイティはそれが平地だと解釈して飛行するため方位などに誤差が生じます。そのことを十分に考慮した上で、9回目の飛行は計画され実行されました。最終的にインジェニュイティは、これまでの飛行よりも広く設定された半径50mの着陸場の中心から47m離れたところに着陸しました。

7回目、8回目の飛行では撮影されなかったインジェニュイティによるカラー画像も、9回目の飛行では撮影されました。それらの画像は近日中に地球へ送信されてくる予定です。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech